ある秘密
フィリップ・グランベール著『ある秘密』を読了。
淡々とした語り口なためか『悪童日記』を思い出させるところもあるけど、あの作品に感じたひやりとした怖さとはまた違った感じ。
「ぼく」は成績優秀で体が弱い男の子で、小さい頃から想像上の兄がいた。
スポーツ万能の両親は愛してはくれたが、何かがおかしい気がしていた。
古い熊のぬいぐるみ、名字の"n"と"t"、時たま変わる両親の表情。
「ぼく」が15歳になったとき、明かされた秘密とは・・・。
作者自身の物語。
それだけに感情が先走りそうな題材だけど、それを廃して、現在形で冷静に語られる秘密。
その秘密を知った後の彼の行動が印象的だった。
ホロコーストが関わる話だけど、重すぎずにうったえかけてくる文章。
婉曲的で、丁寧で、でも読みやすい。
「ぼく」の理解者で、秘密を握る隣人のルイーズが好き。
| 固定リンク
« 善光寺参り | トップページ | サフラン・キッチン »

コメント